粘度は身近なところで人間の心地よさや快適性を上げるため、食品をはじめ化粧品など、多様な分野で活用されています。

しかし、粘性液を工場の生産設備でコントロールしようと思うと、注意する点が多々あります。

 

非ニュートン流体は要注意

移送対象が非ニュートン流体である場合、特に注意が必要です。

なぜなら前記した通り、加えられる力によって粘度が変化するからです。

ポンプとはどのような形式であろうと、基本的に流体に力を加えて移送するので、想定していた流量が出ない、移送できない、などのトラブルが考えられます。

 

流体の性質(物性)が変わる場合も

また、高分子の中には激しい応力に対して分子のひも状列が崩れ去ったりするなど、物性がかわってしまう場合があります。

特に化粧品や食品など、粘度そのものが商品価値の一因である場合、送液方法はデリケートな問題になります。

 

基本は容積変化型のポンプを選定

ポンプには大きく分けて

・ターボ型

・容積変化型

・その他(特殊)

の3つに分けることが出来ます。

 

ターボ型とは、羽根車をケーシング内で回転させ、液体にエネルギーを与えるポンプのことです。

遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、マグネットポンプなどの名称でもお馴染みです。

ターボ型は高速回転のため連続流ですが、吸い上げ・押し上げ揚程は比較的低く、負荷によって流量が大きく変動するため定量性は低いのが特徴です。

これを非ニュートン流体の移送に置き換えると、「回転応力で粘度が変わる」非ニュートン流体に対して高速回転の羽根車を使用することは過負荷やキャビテーション、送液不可などのトラブルの原因に繋がりやすいと言えます。

 

高粘度液は容積型を選定

一方、容積変化型のポンプは一定容積にある液を往復運動または回転運動にて容積変化させ(移動させるイメージ)、液体にエネルギーを与えるポンプのことです。

ダイヤフラムポンプや一軸ねじ式ポンプ、ギヤポンプなどが容積型にあたります。

容積変化型ポンプは、定量性が良く、吸い上げ・押し上げ揚程が比較的高いものが多いのが特徴です。

高粘度液の移送は基本的には容積変化型を選定するのがベターです。

さらに流体の温度や腐食性、スラリー(流体中の固形物の有無)など詳細情報により、どの容積変化型ポンプを選定するかを判断します。