前項ではニュートン流体と非ニュートン流体について触れました。

ここでは「非ニュートン流体」についてより詳しく解説します。

 

まるで忍法?沈まない水たまり

ある日、YOUTUBEを何気なく見ていた時に、某アイドルグループが白い液体の上で足をバタバタさせて楽しんでいる動画を見つけました。

「すごい!沈まないぞ!」

などと叫んでいる様子でしたが、よく見ると足を素早く動かしている間は沈まずに、足を止めてしまうと沈んでしまうようでした。

足を素早く移動させ颯爽と池を渡す姿はまさに「忍者」のようで、非ニュートン流体の特性がわかりやすく動画になっていました。

 

この現象は「ダイラタンシー」と呼ばれます(またはシアシックニング)と呼ばれ、加えられる変形速度が早ければ早いほど粘度が増し、個体のように振る舞う現象です。

ダイラタンシー特性を持つ流体を「ダイラタント流体(シアシックニング流体)」と呼びます。

特にポンプ移送の際は流体に力を与えて移送しますので、ダイラタント流体には注意が必要です。

 

マヨネーズとケチャップのレオロジー

ダイラタント流体とは逆に、流体にひずみを与えると粘度が下がる流体をシアシニング流体と呼びます。

マヨネーズはボトルの中では流れず、個体のように振る舞います。しかし唐揚げが食卓に出て来るや否やボトルを押さえるとスムーズに流れ出ます。

これはボトルを押さえる事によりマヨネーズの粘度が下がり、流体のような振る舞いを行う結果です。

ケチャップも同じくボトルの中では固体のようですが、蓋を開けて押さえると流れ出ますね。このような「ひずみ速度に比例して粘度が下がる」流体のことを「シアシニング」流体と呼びます。

 

その他の流体分類

上記のように、力を加えると軟化する作用は、次の3つに分類されます。

・粘度がせん断(ひずみ)速度の上昇により小さくなるシアシニング。

・ある一定の力(降伏応力)がかかると流れ出すビンガム流体。

・流れのもとで、時間とともに応力が小さくなるチキソトロピー。

この3つの分類のいくつか(または全て)が観察されるような流体も存在します。

 

ペンキのレオロジー

レオロジーが意識されずに活用された古い例として、ペンキや絵の具があります。

ペンキを塗る時は塗りやすい方が作業がしやすく(低粘度)、塗った後には液だれがしない方が好都合です。

エジプト文明では、顔料にゼラチンが使われた形跡があり、これは現代でも増粘剤として使用されている物質です。