実際の現場では、ポンプの選定において「粘度」以外にも様々なファクターがあり、簡単では無いのが現状です。

ここではエイチツーが経験してきた高粘度流体の移送を例に紹介していきます。

 

ギヤポンプの故障頻度を何とかしたい!

大手製鉄所J社様より、「ギアポンプがすぐに壊れてしまい、困っている」と相談頂きました。

流体の詳細をヒアリングすると、

・高粘度

・高温

とのこと。その2点の要素だけであれば、ギヤポンプの選定は間違っていないように思えました。

スラリーには要注意

ヒアリングを進めると、実はオイルを循環させる間に、どうしても微量のスラリー(鉄粉)が混入してしまうということがわかりました。

一般的にギヤポンプにスラリーは微小であっても故障の原因になります。

前項で説明しましたが、ギヤポンプは歯車をかみ合わせてポンプ作用させるタイプです。

そのかみ合わせが精巧であればあるほど、正確にポンプ作用できるようになっています。

その為、構造上、スラリー液には向いていません。

そこでエイチツー製のエアダイヤフラム(高温仕様)を提案、納入となりました。

 

ミドルレンジならエアダイヤフラムは万能

エアダイヤフラムポンプの特徴は

・スラリーOK

・防爆仕様(エア駆動)

・多様な接液材質

・自吸式

など、汎用性に優れています。

前記のケースでは、粘度も1満CP以下、温度も90℃、スラリーも微小のため選定としてはベストでした。

また、その汎用性もあり、コストが比較的に安価です。

しかし5万CP以上の高粘度液や100℃以上の高温流体などは構造的に大掛かりになり、コスト的に他のポンプと大差が無くなってくる場合があります。

 

エアダイヤフラムが最もコストパフォーマンスを発揮するのはミドルレンジまでになります。

 

スラリー液は消耗品価格も重要

スラリーを含んだ流体移送は、固いスラリーの場合は特に消耗品の価格やメンテナンスの頻度も重要な要素になってきます。

エアダイヤフラムポンプなら、ダイヤフラム+ボールがスラリーによって消耗していく可能性がありますが、どちらも交換が簡単であり、一般的に価格も安価なので、ランニングコストを抑えられます。